JT1594 樋定規桐紋図二所物
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無銘:後藤祐乗
赤銅魚子地高彫金色絵 室町時代
笄:長さ208mm×幅12.5mm×厚さ3.5mm
小柄:長さ96.8mm×幅14.8mm×厚さ4.5mm
上製桐箱入落込済仕覆入
「伝宗乗」として特別保存刀装具鑑定書付
¥1,850,000
Goto Yūjō. Design of paulownia mon and ruler.
Muromachi period.
NBTHK Tokubetsu Hozon Tosogu Certificate as “Den Sōjō”
永享十二年(1440)に生れた後藤祐乗は、日本の彫金界の始祖と呼ばれ、東山文化の工芸の分野を代表する不世出の名工です。また、宗乗は、後藤本家の系図によれば、長享元年(1487)生れで元亀二年(1571)に没したとしています。当時としてはかなり長く生きたことがわかります。金工後藤家の二代目として長く足利将軍家に仕え、父である祐乗の作風を発展させました。この二所は、樋定規に桐紋の、後藤家らしい上品な作品で、笄はオリジナルで、小柄は同じ図の笄を仕立て直したものです。
永正六年(1509)の奥書のある、「大内問答」に「公方様、御腰物は・・・御めぬきは丸の内につぶ桐やき付、御かうがい赤銅、みみやき付、又ひの左右に御目貫の如くなる桐をやき付候、桐八つ有、御かうがいのさきを二三寸置て、金にてそぎつぎにつがれ候」としています。永正六年は祐乗の没する3年前で、公方様とは、足利義澄のことで、大内問答で語られた笄は、当然ながら祐乗の作品に間違いありません。この笄は、まさにこの記事とぴったり符号するもので、厚手の金の焼付、桐紋がシャープで際立っていること、魚子地は祐乗の特徴である、うねっていることから、NBTHKの鑑定書に書かれた「宗乗」というよりは、祐乗の作品と思われるものです。小柄の魚子は笄に比べると少し大きいのですが、桐紋と樋定規には締りがあり、これも祐乗の作品を仕立て直したものと思われます。保存状態も抜群で、500年の長きに渡って大切にされてき名品です。